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酒とシネマと不登校児な日々

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八重洲地下街で昼酒を


山の手育ちで生粋の箱入り娘だった私の母は、世間知らずでもあった。


上野の山では、傷痍軍人が奏でる物悲しいアコーデオンと、ろくろっ首や狼女がバリバリ現役だった頃。


「親の因果が子に報い~」のフレーズに釣られて見世物小屋に入った子どもは、サーカスに売り飛ばされると、半ば本気で信じていた節がある。

子ども一人では決して降りてはいけない駅だときつく言い渡されていたし、母に連れられてあの山を登る時、私の手を握りしめる彼女の手は少し汗ばんでいたように思う。


上野ほどではなかったが、東京駅の八重洲地下街を行く時もまた、母は緊張していた。



昭和44年にオープンした、350店舗が並ぶ東洋一の地下街。
その一角に薄暗い飲食店街があり、居酒屋があった。

仕事もせずに昼間から飲んでいる男たちとすれ違う時、彼女の身体は明らかにこわばっていた。


アルコールと脂と煙草が混ざった猥雑な匂いは昭和そのもので、男と女の間には色々な意味で緊張感があった。


あれから35年、八重洲地下街は見違えるほど明るく綺麗で清潔な街にリニューアル、
そしてあなたの娘は、遅いランチをかっこむサラリーマンを尻目に一人昼酒するほどの立派なオトナになりました。

だって、タイムサービスメチャクチャ安いんだもん。

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お勧め(^^)


ちなみに、母によると、サーカスに売られた子どもは、身体を柔らかくさせるため毎日酢を一升飲まされるんだそうだ。
知ってた?


by takako98765 | 2014-03-14 20:35 | SYOUWA
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